草食系鈍感彼氏の射止め方
向かい合って見つめ合う状態になる。
どうして言えないんだろう。
彼女のために。
彼のために。
アタシは切なくて苦しくて涙がこぼれてきた。
また…泣く…。
こんなの性に合ってないのに。
どうして言えないんだろう。
何回もこころの中で繰り返す。
たぶん、
どうしようもなく彼に惹かれていてさよならしたくないから、
なんだろうな。
でも。
ちゃんと話しないと彼に、彼女に、迷惑だ。
でも。
アタシは遼ちゃんと一緒にいたい。
でも。
それを望んでいるのはアタシだけ。
でも、でも、でも。
ふと彼の空いている手の親指がアタシの涙を拭う。
そしてそっと笑いながら言った。
「キャラメリゼの奥みたいにやわらかいですね…」
彼の言葉にドキッとして真っ赤になりアタシはぎゅっと目を閉じる。