草食系鈍感彼氏の射止め方
「これ、忘れモノですよ?」
彼はアタシの手を取り手のひらにお姉ちゃんのイヤリングをのせた。
そしてアタシと同じように橋にもたれるようにして糺の森のほうへ視線を向ける。
「…僕に変な気を使わないでください。
あれからずっと心配してたんですよ?」
「ごめん…なさい…」
「変な置手紙残して連絡も全然ないしこっちから連絡しても音信不通だったし。
いつもの明るいうめちゃんじゃないとやりにくくて困ります」
久しぶりに聞こえるやさしい彼の声に胸の奥が熱くなる。
抑え続けていた彼への想いがあふれ出す。
「もっと僕にワガママ言ってくれてもいいんですよ?
だって、
だから前にも言ったでしょう?
うめちゃんのことが好きだから」