草食系鈍感彼氏の射止め方
「落語…好きですか?」
うわっ。
ダレ?!
独り言なのに聞かれた!
声のほうを向くとアタシと同い年くらいの男の子が笑顔で立っていた。
…そのときどうしようっていう思いもあったけれど。
でも彼の無邪気な笑顔を見たら恥ずかしい思いも警戒心もなくなってしまった。
話を聞けば彼も落語が好きでいつもひとりで聴きに行っているらしい。
アタシははじめての仲間に嬉しくてつい今まで楽しいことを共有するひとがいなくてつまんない思いをずっとしてきたことを訴えるように話した。
くすくすと笑いながらアタシの話を聞く彼。
そんな彼を見たら愚痴のようなことを言っているというのにアタシもなんだか嬉しくなった。