草食系鈍感彼氏の射止め方

「だってさ、
胡桃沢ってひとも雫石ってひともなんか中途半端なんやろ?
それやったら携帯のひとに乗り換えてもええんちゃうの?」

長い髪を指で絡ませながらアタシに言う。



美月はキレイな髪をしている。

見た目は黒いけれど光に透かせるとブラウンに見える。

今も窓から差し込む光の加減で彼女の髪がブラウンになっている。

彼女が表情を変えてアタシに話しかけるたびに髪も揺れてより一層キレイに見える。


アタシは彼女のそんな髪が可愛くてキレイで羨ましいけれど彼女はあまり気に入っていないらしい。


アタシの黒い髪のほうがいいって言うのだ。

「漆黒で艶っぽくてキレイ」

なんて褒めてくれるけど。



でもアタシは自分で自分の髪は黒すぎて嫌い。

重たく見えるから。




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