首筋にナイフ
第三話


「あのさ、今度の日曜日に水泳部の全国大会があるんだけど、よかったら見に来てくれる?」


「…………え?」


数学の補習最終日。


補習が終わったという解放感と、もうこれでイチカに会えなくなるという寂しさが入り交じった複雑な心境だった。


そんな中、彼女からのまさかのお誘い(大会に見に来ない? ってものだけれど)。


そんなの……。


「そんなの行くに決まってんじゃん!」


「本当!? やった! ありがとう! でもでも会場とか分からないよね?」


「あ……うん。分からないけど」


想像以上に嬉しそうにする彼女に戸惑いながらも答える。





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