首筋にナイフ


「親友なんて生温いものじゃない」


「…………」


小早川さんが言ったことがオレには全然理解できなくて、返事が出来なかった。


「保っていたものが、崩れる。元々糸が張りつめてるような状態なのに、不安定になる。アタシも、イチカも……。もしかしたらあの大豆やろうも。崩すのは貴方よ。責任……とれるならやってみなさい。後悔すると思うけど」


そう言う彼女は、どこか遠くを見つめているようだった。


「もう、後戻りは出来ない」


彼女は冷たい目でオレを一睨みして、帰ってしまった。


オレはしばらくボーッと突っ立っていた。






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