首筋にナイフ


「にしても、ヨシノはまだかぁ? 遅いな……」


「そうですね」


そうオレが言うと、ふいに吉川先輩は携帯を開いた。


「……あ、メール来てる。『先行ってるから』だそうだ。じゃあオレ達も行くか!」


「はい」


というか、先に行ってるって、もしかして吉川先輩より早く駅に着いたって事か?


いや、小早川さんのことだ、吉川さんに見つからずに行ったんだ。


それはそれですごいな。


「ま、そんなに遠くねえから。余裕で間に合うぜ」


眩しいくらいの笑顔でオレを見る吉川先輩。


別にその気があるわけではないが、照れてしまう



上り電車に乗り、そのまま揺られながら会場に向かった。






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