首筋にナイフ


「じゃあ初めてな人も多いわけだし、時間もまだあまってんし……自己紹介でも始めるか!」


という担任の軽い一言で自己紹介は始まった。




「…………はい、じゃあ次」


いつの間にかオレの番がまわってきていた。


はっきり言って人の前で話すのは苦手だ。


仕方なく立ち上がり、自己紹介を始める。


「高野春彦(タカノハルヒコ)です。部活には入ってません。よろしくお願いします」


無難に済ませて、座る。


隣の彼女はニコニコしてこちらを見ている。


一体何を期待しているのだろうか……。


何をすればいいのか分からないオレは、目を合わさないようにしながら時間が過ぎるのを待った。


こんなとき上手いことを言うことが出来ない自分がすごく嫌いだ。




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