首筋にナイフ


「イチカさん、どこにいるんですか?」


「4コース」


目を細めて見てみる。


本当だ、イチカさんっぽい。


イチカさんも足首まである水着を着ている。


「きっといい泳ぎするわ。ちゃんと見てなさい」


「はい」


ピストルの音とともに、一斉に飛び込む。


その後オレは、目を奪われた。


なんて美しいフォーム……。


「すごい……」


素人のオレでも綺麗だって分かる。


バタフライって、こんなに綺麗な泳ぎだったのか。


今までちゃんと見なかったことを後悔した。


「そりゃすごいわよ。ほら、一着よ」


「全然違う世界に住んでいるようだ」


「アンタとは確実に違う世界に住んでるわね」






< 37 / 55 >

この作品をシェア

pagetop