首筋にナイフ
第六話
あれから、イチカさんの出番は全部見た。
とはいえ、二回だけだけど。
あんなに速かったのに、入賞できなかったそうだ。
「上には上がいるの。モンスターみたいな子もいるのよ」
仕方ないという顔で、小早川さんは言う。
「オレ、イチカさんのところ、行ってきます!」
「アンタ、イチカが何処にいるのかなんて分からないでしょ!」
小早川さんの声を無視して、とにかく走った。
この感動を、彼女に一番に伝えたくて……。
この気持ちを、早く彼女に伝えたくて……。
「イチカさん……!」
オレは、オレは……貴女のことが……!!
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