首筋にナイフ


「ゴメン、わざわざ移動して」


「別に、いいよ」


オレが本題に入った頃から、彼女はいつもよりずっとおとなしかった。


そのサインをオレは感じ取る事ができなかった。


あまりにもテンションが上がっていて、それどころじゃなかったんだ。


少し間を置いて、オレは話し始めた。


「オレ、さ……二年になって最初の日……イチカさんの笑顔を見て、一目惚れしたんだ。それで、今日、キミの泳ぎを見て、居ても立ってもいられなくなって。イチカさん……いや、イチカ! オレは、イチカのことが、好きです! 付き合って下さい!」


「…………」


一気に告白した後、オレはイチカの方を見た。





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