首筋にナイフ


「いや、そんなにならなくても……オレ、大丈夫だから。他に好きな人がいるの?」


思わず気になって聞いてしまう。


「……大切な人が、いるの」


「大切な人?」


「これ以上はイチカには酷だ。オレが説明しよう」


「吉川先輩……」


いつにもましてシリアスな雰囲気の吉川先輩がオレ達の方にやってきた。


小早川さんもいる。


「ヨシノとイチカはどっかで帰る支度でもしてな」


「うん」


小早川さんは珍しく素直に頷くと、イチカと手をつないでどこかに行ってしまった。




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