首筋にナイフ


「もちろんNOだ。しかしなあ、イチカが断る前に、ヨシノがその場面を偶然目撃しちまった。イチカは気付かなかったらしい。告白を断って、ヨシノを迎えに行こうと教室に入ったら、血まみれになって笑ってるヨシノがいた」


何故そんなこと、したんだろう。


想像すると背筋が凍る。


「カッターか何かを使って体中を傷つけてた。多分、ショックだったんだろ。でも、いくらショックだとしても、ちょっと飛んでるよな。なんでそんなことをしたのかは、本人にしか分からねえよ。その本人も、その時のこと、忘れちまってんだ。迷宮入りさ。幸い、血が出た割に傷は浅くて、大事にはいたらなかった。でも、イチカにとっては衝撃だろうな。自分のせいだってずっと責めてた」





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