首筋にナイフ


「ハルヒコくんだよね?」


「あ、うん。君は、本城さん……だよね?」


分かりきってはいるが一応聞いてみる。


「やだなぁ、本城さんなんて他人行儀な呼び方じゃなくてさ、イチカでいいよイチカで!」


「じゃあイチカさんって呼ぶよ」


「えー……さん付け? ま、いっか。徐々に徐々にって感じで、ね? うんそれならいいや」


ちょっと不満そうだけど、勝手に自分で納得してくれた。


他人行儀は嫌っていうけど、他人じゃないか?


と思ったけど、やはり口には出せなかった。




昼休み、やはりイチカさんの周りに人が集まる。


明るいし、モロみんなに愛されるタイプだよな。


オレもその中に入ろうとしたが、オレが入る前にイチカさんはすぐに皆からの誘いを断った。


「なんでだ?」


「そりゃあ本条一香のことを小早川芳乃(コバヤカワヨシノ)を待ってるからでしょ!」


「……テツか」





< 5 / 55 >

この作品をシェア

pagetop