首筋にナイフ
「ハルヒコくんだよね?」
「あ、うん。君は、本城さん……だよね?」
分かりきってはいるが一応聞いてみる。
「やだなぁ、本城さんなんて他人行儀な呼び方じゃなくてさ、イチカでいいよイチカで!」
「じゃあイチカさんって呼ぶよ」
「えー……さん付け? ま、いっか。徐々に徐々にって感じで、ね? うんそれならいいや」
ちょっと不満そうだけど、勝手に自分で納得してくれた。
他人行儀は嫌っていうけど、他人じゃないか?
と思ったけど、やはり口には出せなかった。
昼休み、やはりイチカさんの周りに人が集まる。
明るいし、モロみんなに愛されるタイプだよな。
オレもその中に入ろうとしたが、オレが入る前にイチカさんはすぐに皆からの誘いを断った。
「なんでだ?」
「そりゃあ本条一香のことを小早川芳乃(コバヤカワヨシノ)を待ってるからでしょ!」
「……テツか」
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