首筋にナイフ


仲間を見つけて凄く嬉しそうだ。


「はい。私はイチカでございますよ」


思わず心の中で「よっしゃあ!!」とガッツポーズをした。


暑いけど、面倒くさいけど、彼女と居ればそんな補習も楽しいものになりそうだ。


「あ、そういえば小早川芳乃さんは?」


「ヨシノ? ああ、あの子はめちゃめちゃ頭いいから補習とは無縁なんだよ」


はぁ、とため息をつくイチカさん。


そんな姿もなんだか様になってるから困る。


「オレは補習数学だけだけど、イチカさんは?」


「私は、数学と、英語と、古典と、現代文と……あと……」


「あー、分かった。大変なんだな」


「うん。大変。でも、大会がある日は行かなくていいからちょっと楽なんだ!」


大会……ああ、そう言えば彼女水泳部だったな。


気持ち前より黒くなってるような気がする。





< 9 / 55 >

この作品をシェア

pagetop