―偽愛―
『海翔』
広海を最初に見つけたのは…俺じゃった
真っ赤に染められた水に
青白い顔をして
まるで 眠っているみたいな顔をして
こんな時なのに…
広海が 別人みたいで…
まるで人形みたいに…
とても美しい広海
美し過ぎて 思わずkissをした
それから…
我に返って、広海の母ちゃんを呼びに行く
母ちゃん 慌てて救急車に電話するけど…番号 110番に電話しとるし…
やけに冷静過ぎる 俺…
違う自分が 冷静な俺を見てる
広海がこんなん なったのは俺のせいじゃ
俺のせい
俺のせい
俺のせい
俺のせい
俺のせい
俺のせい
俺のせい
…
…
…
…
どんなに自分を責めても 広海の意識は戻らん
嫁に電話する
『広海…民宿屋の娘が自殺したんじゃ…じゃけど、意識が戻らん。なんもかんも悪いのは俺じゃ。これからの事は俺が帰ってから話そう。とりあえず…意識が戻るまで、あの娘のそばに居りたいんじゃ…勝手ばっか言うてんのは、よう分かっとる。すまんな。』
嫁はなんも言わん
ただ…鼻を啜る音だけが、聞こえてきた
『すまんな…』
そう 一言 言って電話を切った
昼下がりの病院で 患者や看護士の声とTVの音が響き渡っていた