―偽愛―


簡単に着替えをカバンに入れ 必要最低限の物を持ち アパートを出る事にした


嫁は 静かに泣いていた


俺には涙を見せないように 黙って竜太を抱き 静かにTVを見ていた


竜太は 俺が家を出る事に気付いたようで “パパ”と泣きながら追っかけて来たが ドアを素早く閉めた


竜太の泣き声が 玄関の外まで聞こえた






ごめんな…竜太



ごめん…



酷い父ちゃんで ごめんな…



紗恵…冴えない旦那でごめん…



お前達の事は 今でも変わらず …愛してる



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