―偽愛―
記憶を無くした広海に話す事が見つからない
広海に出会ってほんの一週間ほど 俺の口から君に何を話してあげればイイのか 思いつかない…
君に話す事が出来るのは あの夜 たくさんのkissをした事ぐらいかな…
俺達は無言のまま 手を繋いで商店へ向う
たくさんの風鈴の音が 聞こえてくる
“あっ…風鈴。”
“風鈴は…好き?”
“あっ…分かんないけど…風鈴の音色がキレイだなぁと思って…”
戸惑いながらも 嬉しそうに話す
“ねぇ…原さん。原さんの知ってるアタシの事。教えて…”
“あぁ…今度…話すな”
何をどう話してイイのか 不器用な俺には思いつかない…
また、沈黙の時が過ぎる
やっと 商店に着く
最初に広海とここに来た時よりも とても長く遠い気がした