―偽愛―




秋が深まった 良く晴れ日の事だった




オカンが始めた仕事先の人から 紅葉の綺麗な場所があるとかで 電車に乗って 3人で行く事になった



海翔はもちろん オカンもまだ アタシの記憶は戻っていないと思っている



少し複雑で微妙に楽しい空気の漂う 3人の関係


アタシ達は 電車に乗り、その場所へと向かった


アタシが海翔と電車に乗って、どこかに出掛けるのは これが初めて


正直 小学生の頃の遠足みたいに、ドキドキワクワクしていた




海翔とオカンの間に挟まれて 電車の席に座るアタシ達


他に乗客はお年寄りの夫婦が一組と 30代のサラリーマン風の男の人が1人だけだった


アタシは海翔と手を繋ぎ 海翔の肩にちょこんと頭を乗せた




ただ… それだけでもアタシは口から心臓が飛び出しちゃうんじゃないかと思うぐらい ドキドキしていた




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