―偽愛―







“海翔…”



今日も いつもと同じ海翔の部屋


“どしたん?…元気ないで…”



“…そっかなぁ。たぶん ちょっと疲れちゃったんだよ…”


“そっか……大丈夫か?”


“うん。海翔の顔見たら 元気出た…”


“調子のエエこと言うても何も出んで…”

海翔の悪ガキの笑顔…

この顔を見るのも 今日が最後だね…


“本当 海翔…今日は良く笑うね。”


“ダメ?”


“そんな事 言うてないじゃろ…”


“プッ…広海が拗ねたわ。”


アタシのぶーたれた ほっぺを グニッと優しく、つねる


“もぅ。いたいよ…”

…涙が出そう…


ほっぺよりも 胸が締め付けられて、涙が出そう


やっと 海翔がたくさん笑ってくれるように なったのに…




…なのに…






“ねぇ。海翔…。海見に行かない?”



“どしたん?突然…”


“なんとなく…海翔と海に行くの久し振りやし。…ダメ?”


“ええよ。行こっか”



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