―偽愛―
それから 俺達は部屋に戻った
広海は 部屋に戻ってからも猫みたいにピッタリくっついて 離れない
まるで もう会えないかのように…
その夜 広海を抱いた
広海が記憶を失ってから始めて抱いた
何度も 何度も
本当に 永遠の別れのように、広海は何度も抱かれる事を望んだ
俺も その願いに応えるように、何度も 何度も抱いた
俺達は ただ 貪欲にひたすら互いを求め合い 抱き合った
だけど…愛してるとは 互いに言わなかった
なんだか その言葉を口にしたら、全てがボロボロと崩れ落ちてしまう気がして…
言えなかった…