―偽愛―






約束の2時




広海の手紙のとおりに 駅にやって来た




駅には 広海の姿はない



広海… なんか急用でも出来たかな?…

まぁ すぐ来るじゃろ…








10分待っても







20分待っても








30分待っても 来ん…



なんか あったんじゃろか…


広海の家に電話する




トゥル トゥル トゥル


何度コールが鳴っても 繋がらん




広海の家に 向かおうと





…思った時






広海が 荷物を抱えて現われた




“ど、どしたん?遅いで…”



“…ごめん。海翔の荷物整理しとったら、遅くなってしもうたわ…”



“は?俺の荷物の整理って…どういう事?”



“……いいから。とりあえず…ホームに行こう…”



少し嬉しそうに だけど…どことなしか 少し淋しげに 広海は言う



俺達は 何も話さず

ただ 少し重い荷物をふたりで持ち ホームに移動した




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