―偽愛―
オカンの49日の法要の日
“結婚しよっか…?”
2階の窓枠に腰掛けて 海を見ながら
海翔はまるで“買い物にでも行こっか”みたいに 軽く言う
あまりにも軽い口調に アタシも“いいよ”って軽く言う
“遅くなって…ごめんな…”
さっきの口調とは 正反対に重い口調で言うから その時初めて改めてプロポーズされた事に気付く
結婚
アタシ 海翔の奥さんになるんだ
そう思うと 涙が溢れた
“ありがとう”
なんでか分からないけど アタシの口からはその言葉が出ていた
海翔はアタシの右手を ギュッと握り締めた
“広海…愛しとうよ”
kissするアタシ達の 頭の上で
アタシと海翔の風鈴が 仲良く 涼しげな音を鳴らしていた
―END―