―偽愛―
ガラガラ
まだ 夜が明けない朝
隣りの部屋の 網戸を開ける音で目が覚める
アタシも網戸を開けて 隣りの部屋を見てみる
“おはよ オタク、いびき うるさ過ぎ”
“あっ…ごめん
朝、早いんだね…”
“俺 小さい頃から、ばあちゃんに育ててもらっとるから、朝が早いんよ 起こした?”
“うん… でもたまには早起きもしないと…ね”
“その風鈴 良い音するなぁ”
“でしょ? アタシのお気に入りなんだ”
“俺も 風鈴欲しい”
“買いに行くなら 付き合うよ”
“マジで? 助かるよ… この町の事、分からんし…”
“じゃあ 夜が明けたら買いに行こう”