―偽愛―
それから アタシ達はしばらくの間、何も言わずに暗闇の海を見つめ
白い息を吐き出しては
それぞれ部屋に戻り
夜が明けるのを待った
アタシはいつの間にか寝ていて
トントン
と、いう 壁を叩く音で目が覚めた
“おはよう…”
網戸越しに 朝の挨拶をして
身仕度を整え
“もう出る?”
と また、網戸越しに海翔に聞いた
“俺は大丈夫…オタクは?”
“アタシも準備出来たし…”
“なら、行こうか…”
2人 合わせたみたいに同時にドアを開けた