―偽愛―



2人で ギシギシと軋む階段を降りると



オカンが



“2人でお出かけ?”



と、少し茶化すみたいに 話しかけてくる



“風鈴が欲しんだってさっ”



アタシは 業務用の大きな冷蔵庫のスライドドアを横に開き



瓶の烏龍茶を2本出して、栓抜きでシュポっと 栓を抜き



一本を口にくわえて もう一本を海翔に渡した



“アンタ、金払いい”



アタシはいつもの事だと 無視して家を出た



海翔も何も言わず、 ペコっと オカンに頭を下げて、アタシの後ろをついて来た



アタシ達は なんだか変な距離を保ちながら、何も言わずに歩いた







アタシは なんだかその距離感に居心地を悪く感じ



“アンタ 先に歩いてよ”



少し立ち止まり 後ろを向いて、後ろを歩く海翔に言った



“じゃけど。俺 店、知らんで…”



“…じゃあ。横、歩いてよ ストーカーされてるみたいで、居心地悪い”



“分かったわ…”



海翔は 大股でアタシの隣りに歩いて来た



横に並んで よく見ると、やっぱり背が高い



“なに… そんなに見つめても 何にも出てこんで。惚れたらダメよ。俺、家族おるけん”



“惚れたりせんわ!アタシだって彼氏おるんよ!”



“冗談!冗談!”






アタシ からかわれてる



なんか腹立つ





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