―偽愛―
セミの声が 徐々に聞こえだしてきて
太陽の日差しも 少しキツくなってきた
アタシは からかわれた事に少し苛立っていた
何も話さずに歩いていたら
かき氷の旗が見えてきた
“かき氷でも食べるか?”
気まずくなってきたのか 海翔はアタシのご機嫌を伺うように言った
“…どっちでもイイよ…”
“なら、食べるで”
“おっちゃん!イチゴふたつ、ちょうだい”
大きな声で 氷を削るおっちゃんに頼む
“アタシ!!レモンがイイ!”
“オタクはレモンか… ごめん。おっちゃん、イチゴとレモンひとつずつ”
少し 海翔が笑ったように見えたけど
アタシは、かき氷はレモンって決めてるんだ
海翔は 少し早歩きでかき氷を取りに行き
お金を払って かき氷をふたつ、手に持ち
アタシにレモンの黄色 かき氷を渡した
アタシ達は そばにあったベンチに座って
かき氷を食べた