―偽愛―



バタバタ



“優人!”



一階の廊下で 楽しげにオカンと話す優人



相変らず 地黒の黒い肌



中学の時から柔道をしているから ガッチリした体格



王子様には 似つかわしくないけど



アタシの王子様



“よっ。元気してたか?寝ぼすけ…”



肉厚のある 大きな手が アタシの頬を軽く触れる



アタシの大好きな 広い背中



真っ黒なランニングシャツ



“ねぇ…アタシの部屋に行こっ”



アタシがいるのに オカンと楽しく話す優人を オカンから引き離す



少しでも早く ふたりきりになりたかった



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