―偽愛―
大きなリュックサックを背負って
アタシを見つめる
パンツ一枚だった事を 思いっきり忘れてる アタシ
視線がぶつかり合う
先に逸したのはヤツ
この勝負 アタシの勝ち!
アタシ
目が合って 先に逸すのはイヤなタイプ
まぁ そんな事はさておき
パンツ一枚で 潮風を爽快に浴びる
下の階が騒がしい
そう思っていると
ドタバタと 中年太りのオカンが上ってくる
“広海! なんて格好!!お客さん来たからドア閉めて! ”
オカン 汗を拭き拭きアタシの隣りの部屋のドアを開けて
キシキシ軋む 木の枠の窓をガラガラ開ける
アタシは自分の姿に気が付き すぐさまドアを閉める
オカンは 下の階に向かって“どうぞ~上って下さい”と、いつもよりワントーン高い声で言う