―偽愛―



“綺麗…”


優人がアタシを見るなり 言った一言


アタシはその一言で今日あった事全然 水に流してあげてもイイ気がした



玄関を出ると 海翔がしゃがんで煙草を吸っていた


優人は海翔を睨み付けるように見ていた


海翔は そんなのお構いなしって感じで 家族が出て来るのを待っているようだった



アタシ達 3人


言葉も交わす事なく


ただ 外で鳴く虫の声に耳を傾け 聞いていた



波の音も いつもと変わらず リズムを刻んでいた



< 75 / 157 >

この作品をシェア

pagetop