―偽愛―
“綺麗…”
優人がアタシを見るなり 言った一言
アタシはその一言で今日あった事全然 水に流してあげてもイイ気がした
玄関を出ると 海翔がしゃがんで煙草を吸っていた
優人は海翔を睨み付けるように見ていた
海翔は そんなのお構いなしって感じで 家族が出て来るのを待っているようだった
アタシ達 3人
言葉も交わす事なく
ただ 外で鳴く虫の声に耳を傾け 聞いていた
波の音も いつもと変わらず リズムを刻んでいた