―偽愛―



商店に着くと 近所の子ども達が何人も 花火を楽しんでいた


ヨーヨーつりや 金魚すくいが出ていて


海翔と奥さんは 仲良く並んで、金魚すくいをしていた



“広海…なんか飲む?”


優人が 優しく聞いて来る


“うん…コーラが飲みたい”


優人は自販機でコーラを買ってくれた



アタシと優人 同じベンチに座って コーラを飲む



アタシが振り返った時 kissをする


だけど…


だけど とっさに突き放してしまった




“ごめん…優人。ちょっとイイ…?”


アタシは優人の腕を掴んで 人気のない所に連れて行った




“…優人…ちゃんと話しがしたいの。”

“話しって…何の話し?”

“正直に答えて!…優人は…本当は誰が好きなの?”

“何言って…”

“アタシ。優人の携帯見たから知ってるの…鈴花って人でしょ?”

“……分かった。ちゃんと話すよ。俺が今惚れてるのは広海の言った鈴花って人だよ。だけど…広海の事も…”

“じゃあ…簡単だよ。別れよ。アタシ、アタシ1人を見てくれなきゃイヤなんだ…優人…その人だけを大事にしてあげて”



アタシは もう振り返らない


海翔の奥さんに 用事ができたからと告げて 先に家に帰った


帰り道


煙草に火を点けて 思いっきり吸った


何も悲しくなかったし 涙もでなかった



むしろ モヤモヤしたモノが取れて スッキリしていた



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