―偽愛―
みんなが寝静まり
アタシの家の中には 灯がひとつもなく
ただ 月の灯だけが家や海を照らした
とても明るい夜だった
満月の夜
アタシは眠れずにいた
オカンの部屋に居ても 微かに風鈴の音が聞こえた
波の音と 砂がサラサラと音を立てる
アタシは不意に海を見たくなり 月の光に照らされた浜辺を1人で歩いた
波打ち際を見つめながら ただ1人で座り込んでいた
サク サク サク
誰かの足音が近付いてくる
後ろを振り向くと
そこには
海翔がいた