―偽愛―



冷蔵庫からサイダーを取り出し 栓を抜き 軒下のベンチに座る


優人の姿が小さく小さくなっていく


角を曲がって見えなくなるまで アタシは見送った





バイバイ





右手にサイダーを持ち 左手には煙草


優人の前では決して吸えなかった煙草



もう気兼ねなく 吸える



少しだけ 感傷に浸るのも束の間




“この不良娘が…”

茶化すように オカンの口真似をして海翔がアタシの隣りに座る




“な、なにしてんの?奥さんに見られたらマズいんじゃないの?”

アタシは声をひそめて 焦って言う


だけど そんなのお構いなしって感じで

“寝てるから、大丈夫だよ。ハハッ”

なんて…


肩を トンっと 肩で小突く


“もう…”


アタシが遠慮して 少し距離を置く



“昨日のチュー。良かったよ”

って。耳元で囁くから


耳から火が出ちゃうんじゃないかと 思うぐらい熱いよ





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