―偽愛―
少しすると 海翔の奥さんが子どもを抱いて 居間に出てきた
“おはようございます…”
少し寝ぼけた顔で ジャージ姿
アタシ…勝った
なんて 少し余裕
だけど そんな余裕を言えるのもほんの僅かな時だった
海翔のそばに ピッタリとくっついて なにやらアタシの知らない話しを仲良く話している
アタシの耳は ゾウみたいにデカくなって ふたりの会話を全部 聞き漏らさないように聞き入ってる
…でも どんなに聞き入っても アタシには理解不能
奥さんが海翔の頭を優しく撫でたりなんかして
…なによ…
アタシの居る場所 ないじゃん…
アタシは海翔一家の空気に溶け込めない
当たり前の事だけど…
なんか 悔しい