―偽愛―






ガラ



突然 海翔の部屋の窓が開き、海翔が窓枠に座った



アタシは慌てて涙を拭った


泣いてる所なんて 恥ずかしくて見せらんないよ…




“悪い…”


ボソッと低く声で 海翔が呟く



“kissなんかして…オタクを困らせたな…”






…悪いって

…どういう意味…?

kissなんかして…って どういう事…?


オタクって…もう名前で呼んでは、くれないの?






アタシに あんなにたくさんしてくれたkissは 何だったの…?



“ア、アタシ…困ってなんか…ないよ…”

もう 涙が止まらなかった



海翔が…




海翔が…欲しい






海翔が 欲しくて欲しくてたまらない




そう思えば思うほど 泣きたくもないのに 涙が溢れて止まんない



< 93 / 157 >

この作品をシェア

pagetop