(短編)高校野球、マウンドの上の君。


凄いなぁ…

頑張ってんだなぁ…



なんでだろう。

早く帰りたいはずなのに…
もう少し、アイツを見ていたい。


ヤバイ…
好きになったのかも…


結局、しばらくの間、私はアイツを見てから帰った。


話しかけたかったけど、
行動を起こす勇気がなかった。


そして、話すこともできないまま

高校野球、夏が始まった。


ウチの学校の野球は結構強い。

だから県の3回戦までは難無く進んだ。




4回戦の前日、

アイツがピッチャーとして
明日、試合に出ると噂で聞いた。

これはチャンスだと思った。

課外で学校に来たのを見計らって
私は勇気を振り絞って
「ねぇ!」
話しかけた。

「ん??何?」

「明日、ピッチャーで出るってホント?」

「あぁ、ホントだよ。」

「凄いじゃん!!

頑張ってね!
応援するから!」

「出るっつってもちょっとだけなんだけどね。

頑張るよ。
ありがと。」


話し掛けることができた…


それだけのことなのに、
凄く前に進めた気がした。


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