(短編)高校野球、マウンドの上の君。
ストライク…
よかった…。
応援席から歓声と拍手が沸き上がる。
でもまだまだ油断はできない…
続けて2球目。
今度は、バッターはバットを振らなかった。
ボールだったみたいだ。
若干まだ緊張してるのかなぁ。
3球目。
バッターがバットを全力で振った後にボールがバットによって前へ弾き出された。
少し遅れて金属に何かがぶつかる、澄んだ音がした。
応援席の誰かが悲鳴を上げた。
ボールは1塁と2塁の間に低く勢いよく転がって行く。
1塁を守っていた人がボールを追って飛び出す。
そしてお腹で着地し、かぶっていた帽子は取れ、地面に倒れこむ。
グローブにボールが入り、素早く立ち上がり
1塁に走って行く。
相手のバッターが1塁にたどり着く前に
ボールを持った人が1塁を踏んだ。
アウトだ!
応援席は悲鳴から歓喜に変わり、
たくさんの声が響き渡る。
野球場にあるスクリーンにアウトを示す赤い電球の2個が灯る。
凄い凄い!!
気付いたら
隣の友達と手を取り合って跳びはねていた。
我に返ると、ちょっと恥ずかしかった。