水瓶の中ー【短編集】
続き→


RはMにもAとはまた違った、有無を言わさないような感じを受けて席に着いた。

「何から聞いて良いのか…。まず、ここはどこなのかしら?」

「ここは、あなた達のいた世界とは異なる星よ。」
Mは短く答えた。

「……………え?」「つまりね、あなた達は空間を移動して、何らかの事故で、この星に来た。
姉の話だとあなた達の星ではまだ空間移動の技術が無いようだから、信じられないでしょうけど。」
「…私、帰れるのかしら?」
Rは青ざめていた。
「ええ、もちろん!この星では、ちゃんとそういう技術があるもの。あなた達の事故を検証してくれる専門家が無事帰してくれるわよ。」
Mは安心させるように慌てて言った。

Rはとりあえず『帰れる』という言葉に少しホッとしたが、まだまだ不安はぬぐいきれない。

その様子を見てMは付け足した。
「あなた達のように事故で、ここへ来てしまう人はよくいるのよ。だから私達には珍しい事ではないの。ただ…」
「今は、ここも平時の状況ではない…」Rが先を読むように呟いた。

(やっぱり下手に隠すのはよくないかもね…)
Mは考え、軽く言った。
「そういうこと。彼等が帰ってきてからじゃないとねぇ。」
< 17 / 115 >

この作品をシェア

pagetop