水瓶の中ー【短編集】
大風
外は大風。
びゅう~ん ううう
ガタン ガタガタ
扉が音をたてる。
それなのに遠くから虫の音。
たくさんの声。
ずっと鳴りやまない。
大きな音と
虫の音
ただそれだけ。
それだけ。
風が呼ぶ。
「おぅ~い。なぜお前は出て来ない?空に飛び上がってこない?」
私は言う。
「だって私は人間。飛べっこない。」
風は言う。
「飛べるさ。飛べるさ。こんな夜に、飛べないものなんていやしない。」
※実際飛んでは行けません