水瓶の中ー【短編集】
少女
その少女は、席にちょこんと座り、小さく おとなしい。
その姿はとても可愛らしく、少し緊張した面持ちで話す。
思わずこちらの物腰も優しくなる。
しかし、その小さな声を聞き逃した私が再度聞き返した。
すると、クッと顔を上げた。
見つめたその瞳と、発した声にかいま見える理知的なもの。
どうして、放っておかずにいられようか、気にせずにいられようか。
彼女がどんなに小さく静かな存在でも。
それゆえ、こんなに繊細で愛くるしい女の子なのに。