心の国のアリス
 走り出してから約10分。

「はぁ…はぁ…なんで…あの子…疲れ…ないの…。」

私よりもずっと走り続けてるはずのうみは、ペースを落とすことなく今も走り続けている。追いつくどころか見失わないように精一杯だった私だったが、さすがに変わらないペースに付き合うのは限界だった。

「あぁ…もぉ~……だめぇ…。」

私はその場でへたりこんだ。
普段からあまり運動をしてないうえに、革靴に制服姿で全力で走るなんて無茶な話だった。
もちろんそれでうみが待ってくれるはずもなく、一人で走り去ってしまった。

仕方ないので私は、どんぐりに腰掛けてこれからどうしようかを考えた。

…どんぐり?そうだ。私は小さいままだったのだ。うみと私が同じくらいの大きさだったから、私がもとの大きさに戻れば追いつくことが出来るかもしれない。
…でも、どうすればもとの大きさに戻れるのか。屋敷にあった体を大きくする薬はもう手の届かないところにあるし、その他の方法なんて見当もつかない。
薬の効き目っていつか切れたりしないのかな、と思っていたその時だった。

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