心の国のアリス
「あの、私は」

「僕は家にある箱を3つも持てるからこいつよりちょっと力持ち。」
「でもあの箱は僕のより中身が入ってないから、僕の方が力持ち。」
「箱の多さが大事だろう?」
「箱の重さが大事だろう?」

知らねーよ、と思わず言ってしまうところだった。とりあえずこの二人と話していても(と言うより話を聞かされていても)何も役立つことはないだろうから、この場から立ち去ろうと決めた。

「あ、それじゃあ私はこれで…。」

『ちょっと待って。』

ステレオ放送でそう言われた後、道を塞ぐように2人に取り囲まれた。

「な…何?」

「何にしようか。」
「セイウチと大工の話は?」
「ジャバウォックの話は?」

二人で何やら盛り上がっている。二人で盛り上がるのなら二人だけでやってればいいのに。

「ちょっ…何の話?」

「君になにかお話をしてあげるのさ。」
「君はただ聞いてるだけで大丈夫さ。」

「はぁ…。」

当然ながら期待など出来るわけもなく、力なく返事をした。

「君は教養はあるのかい?」
「学校で何を習ってたんだい?」
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