心の国のアリス
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていると、後ろから急にガサッという音が聞こえ、思わずビクッと振り向きながらのけ反った。見ると、そこには女の人が立っていた。
この人はまともな人だろうか。私が話しかけようとしたら、真っ先に相手が話しかけてきた。

「貴女、アリス?」

「は、はい。」

そう答えると、女はすぐさま懐から銃を取り出し、銃口をこちらに向けた。

「アリス、帰る。」

「帰るって何が!」

殺しに来たってことは、この女も白の人なのか。女は表情ひとつ変えず続けた。

「大丈夫、無痛。」

何が無痛だというのか。あ、痛みを感じさせる間もなく殺すみたいなニュアンスだろうか。…冗談じゃない。
しかし、相手が持ってるのは銃。この状況、どう考えても逃げられそうにない。絶対絶命、女が引き金を引こうとしたその時だった。外国映画とかでよく見る、皿を覆う金属のフタが飛んできて女に命中。女は気を失ったようだ。

「こ…今度は何?」

ガサガサと草木を掻き分け二人分の影がこっちへ近付いて来た。

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