心の国のアリス
「…どしたの?」
日陰の、あまり人が来そうもない、言うなれば校舎裏のような場所で、ヒロは話し始めた。
「いや、まさか本当に森を抜けて城まで来るとは思ってなかったからなぁ。」
いきなり何を言い出すのかとぽうっと聞いていると、くるっとヒロがこっちに振り向いた。
「!?」
なんと、その手にはペーパーナイフのような刃物が握られている。
「やっぱり下っ端に任せるのがそもそもの失敗の原因なんだよな。最初っから俺に任せてくれりゃあ良かったのに。」
ナイフの刃をこちらに向け、にじり寄ってくるヒロ。
「な…なんで…?」
味方だと思っていた、そして何よりこの世界でも珍しいまともな人だと思ってたのに、その信頼はことごとく打ち砕かれた。
「別にアリスに恨みとかはないんだけど、頼まれてるんでね。ま、痛みはないから心配しなさんな。」
ナイフを向けて痛みはないとか言われても、はいそうですかと思うわけがない。
逃げられるか…?
でも、ここは赤の城。まわりは私を探している兵士でいっぱいのはず。どちらにしても無事に逃げられるとは思えない。
動けない私をよそに、ヒロがナイフを突き出してきた。
日陰の、あまり人が来そうもない、言うなれば校舎裏のような場所で、ヒロは話し始めた。
「いや、まさか本当に森を抜けて城まで来るとは思ってなかったからなぁ。」
いきなり何を言い出すのかとぽうっと聞いていると、くるっとヒロがこっちに振り向いた。
「!?」
なんと、その手にはペーパーナイフのような刃物が握られている。
「やっぱり下っ端に任せるのがそもそもの失敗の原因なんだよな。最初っから俺に任せてくれりゃあ良かったのに。」
ナイフの刃をこちらに向け、にじり寄ってくるヒロ。
「な…なんで…?」
味方だと思っていた、そして何よりこの世界でも珍しいまともな人だと思ってたのに、その信頼はことごとく打ち砕かれた。
「別にアリスに恨みとかはないんだけど、頼まれてるんでね。ま、痛みはないから心配しなさんな。」
ナイフを向けて痛みはないとか言われても、はいそうですかと思うわけがない。
逃げられるか…?
でも、ここは赤の城。まわりは私を探している兵士でいっぱいのはず。どちらにしても無事に逃げられるとは思えない。
動けない私をよそに、ヒロがナイフを突き出してきた。