mixed Emotion
駅を離れ賑やかな商店街を通り過ぎると、
定番のカラオケ屋さんに着いた。
寂れた場所ではあるが、
他店と比べると非常にリーズナブルなため、
高校生には大人気だ。
ここへは学校帰りに美玖とよく歌いに来るから、馴染みがある。
受付までくるとなんだか少し緊張して、
理香ちゃんのブレザーの裾をつかんだ。
案内された部屋は8人の団体様に対して少し狭く
コスト削減のためか、
室内は電球一つが無造作に取り付けられてあり、薄暗い。
「えーっと、竹中省吾、15歳、趣味は音楽聴くことと歌うことです!!」
開口一番王子様が自己紹介をすると、
右隣に座っていた彼は
「でもほとんど練習にきません。」
と無表情で付け足した。バンドでも結成しているのだろうか。
彼の髪にはパーマが当たっていて、耳元に大きなピアスが開いている。
彼が自己紹介する間もなく、
その反対側に座っていた小型犬のような男の子は、
「俺、耕太!趣味はゲームとバイク!タイプは日曜日にクッキーとか焼いてるような女の子!」
と吠え出した。
現代的なのか古風なのかよく分からない自己紹介を終えた彼は、
「あっラーメン頼んでいい?お腹すいちゃった」
とせわしなく付け加えた。
私はふいに向かいの家の犬を思い出した。
彼にはスピッツと命名しよう。
男性陣の中には、
違う制服を着た男の子も何人か混ざっていた。
おのおのが紹介を終えて、私と理香ちゃんは名前だけ伝えた。
美玖は
「歌が大好きなのでさっそく歌います!」
と手際よくリモコンを操作する。
得意の18番を歌う美玖はさながらアイドルのようで、
とても私の相川純奈を披露する気にはなれなかった。
スピッツは美玖のアイスティーを勝手に飲んで
「あっ間接キスしちゃったっ」
と喜んでいたが、
すかさずマイクを手にしていた美玖に
「さいてー」
と叫ばれてすねていた。
「あんまりコンパとか来ないの?」
美玖の歌に聴き入っていると、
いつのまにか隣に無表情の彼がいた。
定番のカラオケ屋さんに着いた。
寂れた場所ではあるが、
他店と比べると非常にリーズナブルなため、
高校生には大人気だ。
ここへは学校帰りに美玖とよく歌いに来るから、馴染みがある。
受付までくるとなんだか少し緊張して、
理香ちゃんのブレザーの裾をつかんだ。
案内された部屋は8人の団体様に対して少し狭く
コスト削減のためか、
室内は電球一つが無造作に取り付けられてあり、薄暗い。
「えーっと、竹中省吾、15歳、趣味は音楽聴くことと歌うことです!!」
開口一番王子様が自己紹介をすると、
右隣に座っていた彼は
「でもほとんど練習にきません。」
と無表情で付け足した。バンドでも結成しているのだろうか。
彼の髪にはパーマが当たっていて、耳元に大きなピアスが開いている。
彼が自己紹介する間もなく、
その反対側に座っていた小型犬のような男の子は、
「俺、耕太!趣味はゲームとバイク!タイプは日曜日にクッキーとか焼いてるような女の子!」
と吠え出した。
現代的なのか古風なのかよく分からない自己紹介を終えた彼は、
「あっラーメン頼んでいい?お腹すいちゃった」
とせわしなく付け加えた。
私はふいに向かいの家の犬を思い出した。
彼にはスピッツと命名しよう。
男性陣の中には、
違う制服を着た男の子も何人か混ざっていた。
おのおのが紹介を終えて、私と理香ちゃんは名前だけ伝えた。
美玖は
「歌が大好きなのでさっそく歌います!」
と手際よくリモコンを操作する。
得意の18番を歌う美玖はさながらアイドルのようで、
とても私の相川純奈を披露する気にはなれなかった。
スピッツは美玖のアイスティーを勝手に飲んで
「あっ間接キスしちゃったっ」
と喜んでいたが、
すかさずマイクを手にしていた美玖に
「さいてー」
と叫ばれてすねていた。
「あんまりコンパとか来ないの?」
美玖の歌に聴き入っていると、
いつのまにか隣に無表情の彼がいた。