mixed Emotion
「あれっ理香ちゃん!」

なんだか今日はすごい偶然の重なり合いだなぁ。

だが、2人の様子はあきらかにおかしかった。

「この子だよ。私の後ずっとつけてたの。」

え……?

私は一瞬何のことだか分からずあたふたした。

「どういうつもりなの?」

理香ちゃんは私より小さくて、か細い神崎さんに詰め寄った。

神崎さんは顔面蒼白と言うにふさわしく、唇から色が徐々に消えていった。

それを隠そうとしたのか、下を向いて鞄を握りしめた。

「ごめんなさい…、ごめんなさい…。」

繰り返し謝る神崎さんは涙声になった。

人気のない駅のホームで、
背中を丸くして平謝りする姿が、余計に小さく見えた。

私はその様子を見ていると同情してしまい、

「まぁ、何か事情があるのかもしれないし」

と神崎さんの肩を持った。
それを聞いて安心したのか、神崎さんは蚊の鳴くような声で話し出した。
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