mixed Emotion
「許してあげよーよ、理香ちゃん」


理香ちゃんからすれば、いつも周りが寄ってくるからこんな想いは理解できないかもしれない。でも、私だって、一歩間違えたら…。


「私なんかって…あんまり思わない方がいいと思うよ」



私の心配は無用だった。
理香ちゃんの顔からは、怒りの筋が消えていた。

「え…う、うん…」

神崎さんはキョトンと理香ちゃんの方を見た。

「怖い思いしたんだから、これぐらい言わせてよね」


理香ちゃんはもう笑顔になって、
じゃあゆりまた明日ね〜と、私達に背を向けて帰って行った。


恐るべし理香ちゃん…。
美人は言う事が違うよ。

「もう、やめてあげてね?」


私は神崎さんに念を押した。


「うん…なんか今ので目が覚めた気がする。」

神崎さんは目を丸くしたまま、理香ちゃんの後ろ姿を目で追っていた。


「性格も、大人びてるんだね。私なんか……あっ!」

「あははっ」
「ふふっ」



あっ初めて神崎さんと、本音で笑えた。
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