mixed Emotion
その後つかさ君は携帯を手に席を立った。

ドアの外で何か話しているようだ。
誰?彼女?

心の中では動揺していたが、私は全然気にしていないふりをして、バケットに入っているポテトをつまんだ。

つかさ君の変わりにスピッツが寄ってきて、私の隣に座った。

「結構長いこと入ってた?」

「おー。ほんとはもっと前に出てたんだ。けど保護観察ついてたからさ。もう二度とごめんだね。」

鑑別所って、どんな所なんだろう。テレビドラマで見ただけの、乏しい想像が頭に浮かんだが、薄暗い鉄格子の中で、スピッツは何を考えていたのかな。

「まっゆりも頑張れよ!」

突然肩を小突いてきた
ので、私は大げさに咳をした。

「何を?」

「何かいろいろ!頑張ってたらいい事あるよ」

にかっと笑ったスピッツは、少し成長したのかしていないのか、息継ぎだけはきちんとできるようになっていた。
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