mixed Emotion
それから美玖は顔をあげ、とびっきりの笑顔を大樹にむけて、

「ばいばい」

と言った。


私は、耳を疑うしかなかった。


美玖は大樹の体から離れ、さっさと校舎に戻っていった。

「おい美玖!」

大樹の前に私は立ちふさがった。

「大樹君!もう美玖を開放してあげて。」

怖かったけど、これ以上美玖を苦しめてほしくなかった。

「どけよ」

「やだ、どかない」

私は大樹の腕を力強く掴んだ。彼の力は弱まり、

「俺、かっこ悪いな。」

と肩を落として、校庭を後にした。
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