mixed Emotion
鳴らない携帯を握り締めたままクリスマス当日になった。

うちの学校は今日が卒業式だ。

講堂でマリア様の歌を歌って、校長先生の長い話を聞いて、私達は門の外に出た。


「ねぇねぇ、短期でバイトする気ない?」


美玖は私と理香ちゃんの前に立ち、鞄からA4の用紙を取り出した。

そこにはお歳暮のアルバイトに関する募集要項が記載されていた。

場所は美玖のマンションの駅から、二駅先だった。

「実は親戚のおばさんのとこが人手不足で困ってるらしくってさ。」

期間はあさってからの3日間で、時給は800円だった。


「やってみたい」


理香ちゃんは即答だった。

「美玖は働かないの?」
「働くよ」

2人が一緒なら、初めてでもなんとかなりそうだ。

3日間ではたいした額にはならなさそうだけど、マフラーくらいなら買えるかも。


「いいよ」


私は用紙を受け取って、家に帰った。
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